同じ舞台を見たとしよう。素人にとっては何から何まで初めての体験だ。
どうやって舞台が始まるのか、どこを見ながら楽しめばいいのか分からない。
人気の舞台であれば、席は後ろの方。舞台は遠く、演者の表情はほぼ分からない。
音はしっかりと聞こえてくるが、終始「よく見えないなぁ」という感覚だ。
玄人の場合は、かなり異なる。これまで類似の舞台での豊富な経験があるからだ。
始まりはこんな感じ。だから、まずはココに集中して、最初の1分は楽しもう。
初ゼリフのタイミングも分かる。この緊張感が堪らない。ピリピリしながら聞く。
目を瞑ると、音に集中できる。物語の主役の心持ちまでヒシヒシと伝わってくる。
座席の場所は、楽しみ方を変えるチャンスだ。楽器の近くの席なら、その技に見入る。
語りの側なら、発声の技を堪能する。目を合わせてエールを送ることもありのようだ。
舞台から遠ければ、舞台全体の構図を捉える。物語が進展するたびに変わる情景を捉える。
オペラグラスを使って、一人の演者を追うという別の楽しみ方もできる。自在だ。
拍手のタイミングもお手のものだ。演技が終わる瞬間に場を盛り上げている。
席から立つタイミングまでも決まっているのだろう。ささっと立ち去っていく。
劇場には素人と玄人が混在している。素人は右往左往。なかなか楽しむ術を掴めない。
残念ながら、楽しみを掴む前に、興味を失ってしまうこともある。とても勿体無い。
玄人の楽しみ方を、素人に伝えてみたい。そうすれば、興味は倍増しないだろうか。
劇場を幾つかのゾーンに分けて、玄人のゾーン毎の楽しみ方を素人に楽しんでもらう。
玄人には新たな楽しみ方ができるゾーンを作る。そこにいる玄人が素人の憧れになる感じだ。
折角変えるなら、素人も玄人も追加の嬉しさがあるのが良い。頭を捻ってみよう。