うみがめの町にきている。昭和42年にうみがめと卵、その産卵地が国の天然記念物に指定された。
今年は、うみがめの上陸は8回、産卵も6回あったという。うち5回は同じかめさんの産卵だ。
産卵の際、親がめが涙を流すシーンをみるが、映像を何度見ても吸い込まれて胸が熱くなる。
50年以上前から生き物を大事に見守ること、一緒に暮らすということが当たり前の日常なのだと思う。
町には怪我をしたうみがめの保護の施設もある。そこには長老のかめが元気に暮らしているという。
謎はまだまだ多いが、生まれたこがめが大海原をどのように旅をしてまた戻ってくるかもみれる。
生命の神秘に触れることができる。最近少しずつ進展が始まった海ごみ問題にも改めて触れられる。
ゴミは出してはいけない。自分の捨てたゴミの行く末をしっかりとイメージしていくことが重要だ。
ホテルの中にはうみがめのぬいぐるみや置き物が沢山あった。まちの観光シンボルにもなっている。
観光客が多く訪れ、うみがめの存在が明らかにまちに豊かさをもたらしている。大事なパートナーだ。
うみがめが暮らしやすいように、まちの海や浜の豊かさを大事にしている。もちろんゴミひとつない。
ホテルの海側の外壁は、白い灯台という名前にもかかわらず、かめに優しい青に塗られているという。
暮らしの中に「うみがめの気持ちになる」という自然な感覚が根付いているのだろう。素敵だ。
そういえば、ホテルに着いた時、駐車場で立派なしっぽの猫に出迎えてもらった。2分くらい見つめた。
なごりを惜しみながらチェックインをしたが、次の朝、驚いた。フロントに7匹の猫がいたのだ。
おそらく雑種だが、みんな毛並みもよく、人々から愛されているのがよく分かる子たちだった。
1匹が目が合うなり、トコトコやってきて、目の前で寝転んで、「ごろにゃ」。もうメロメロだ。
壁には保護猫の里親探しというポスターが貼ってあった。思わず「はい!」と手を挙げそうになった。
ふと感じた。この町の人々はうみがめだからではなく、自然の生き物に優しい心持ちをもっている。
「猫バンバン」。車のボンネットで音を出してから車に乗る。これが町の優しい習慣だ。