文化は誰のもの?

最近、日本各地の文化について考えることが多い。文化振興をどう進めたら良いかを考えている。
振興とはつまり、物事を盛り上げること。文化振興は、文化を盛り上げられるかへの挑戦だ。
それぞれの地にあるどの文化をみてみても、その文化を象徴するようなモノや生き物が存在する。
うみがめ、刀剣、藍染、教会など、自然の生き物や人が生み出した造形物であることが多い。

ではこうした生き物や造形物が文化なのだろうか。そう言えないことはないとは思うが。。。
なぜそうした造形物がその土地で生まれたか、どのようにその造形物を生む技が育まれてきたか。
なぜそうした生き物との関わりがその土地に根付いたか、どんな思いでその生き物と暮らしてきたか。
こうした問いへの答えに向き合うことが、その文化をきちんと理解する上で重要だと感じてきた。

やはり文化の主役は人だ。その土地の文化であれば、その土地に住んでいる人が主役だと思う。
造形物であれば、それを作るために日々研鑽をしていたに違いない。生活そのものだったように思う。
生き物であれば、毎日その生き物のことを想い、その生き物との出会いに感謝をしていたのだと思う。
生きていくための大変さや難しさを抱えながらも、そうした造形物や生き物との関係性を築いてきた。

勝手な主観だが、文化振興への投資や再投資というと、過去のものを保存するという感覚を感じる。
過去に人々が育んできたものは、歴史的な意義もあり、とても貴重であることはよく分かる。
でも、そこは過去の文化で生み出してきたものの保護で、出発点でしかないような気がする。
文化振興において最も大事なことは、そうしたものからの沢山の学びを得ながら、文化を育むことだ。

文化振興への投資は、文化を盛り上げるための投資だ。盛り上げるのは今を生きている人だと思う。
今を生きている人が、これまでの文化を学び、文化に自分の創意工夫を加えていくことだと思う。
そんな文化を育む姿は美しいと思う。その姿をその土地の至る所で見れたら素晴らしいと思う。
そんな情景は大きな発信力ともなり、人を惹きつけると思う。文化振興の主役は今いる人だと思う。