黒豆とお肉

2年くらい前に始めたタイニーハウスがひとまず完成した。かなり立派な出来だと思う。
平らではない石の基礎の上に柱を立て、ほぞやほぞ穴をつくって組み上げていった。
懸命にやった墨付けはなぜか途中で位置が狂い、それでも現物合わせでなんとかやった。
ノミや鉋、ノコギリ、インパクトドライバなどなど、様々な道具をおっかなびっくり使った。

壁は焼杉だ。高さ5mほどの四角い煙突状に4枚の杉板を紐でくくり、垂直に立て下から炙る。
煙突効果からか、炎は5mを進み、一番上から噴き出てきた。バラすと内側はしっかり焼けていた。
その後、良い塩梅の色になるように、焦げの部分を水でこすり流し、乾かせば完成だ。
杉板は柱を避けながら隙間なく貼っていった。これも現物合わせだ。家に表情が出たと思う。

屋根は杉皮だった。山に入り、間引く予定の杉から皮を剥いでいった。水分の少ない木は大変だった。
水分の多い木は、木の枝を当てるだけで、驚くほどスムーズに「しゅーっ」と剥がれていく。
それを決まった幅に切り分けながら、屋根に登って貼っていった。屋根の角度が急で厄介だった。
杉皮が屋根から飛んでいかないように、山から切ってきた竹で押さえた。アクセントにもなった。

紆余曲折を経て完成したが、色々なところに、「粗相」という思い出がたくさん詰まっている。
棟梁のどんと構えた姿は常に印象的だった。どうにでも直せるという絶大の安心感だった。
少しずつ「なぜこのやり方なのか」ということも分かるようになっていった。それが嬉しかった。
木こりの大将は木と共に生きる楽しさを教えてくれた。仕事場でも木と共に過ごすようになった。

完成パーティーは丹波の黒豆と丹波牛だった。黒豆が緑で大きな枝豆な感じであるのを初めて知った。
塩茹でした黒豆はしっかりした歯応えと甘味があり、凄く好きになった。炭火で焼いたお肉も最高だ。
お餅は、醤油をつけ炭火で焼いて海苔を巻いただけなのに、旨いという言葉しか出てこなかった。
達成感に包まれた。来月からはお風呂づくりだ。まだまだ篠山での活動は続いていく。楽しもう。