最近、頭から離れない言葉がある。「からまりしろ」だ。創意工夫の土台といっても良い。
群馬県太田市駅の前に、太田市美術館・図書館という建物がある。歩いて楽しい街がテーマだ。
無謀とも思われるワークショップで、からまりしろのある建物が生み出されたという。
この記事をもらったときに、ワクワクが止まらなくなった。なんとか手触りを持ちたいと思った。
さまざまな立場を超えた共通の思いがあること。これがまず大事だ。歩いて楽しい街を取り戻す事。
この建築は共通の強い想いのるつぼから生まれてくるという。想いが混ざって渦巻いている感じだ。
設計過程をできるだけ市民との議論の場に投げ出して、半ば混沌とした設計プロセスで進めたという。
多様性の中で、より良いと判断できるものを浮かび上がらせるチャレンジだ。普通は取らない手法だ。
もちろん、設計をになった方が叩き台は出した。でもそこには「からまりしろ」があったのだ。
その叩き台、土台の上に、るつぼから出てきたアイディアがどんどんからまりついていったようだ。
多様なアイディアがからまりついた。でも、みんな「歩いて楽しい街」を目指したアイディアだった。
からまりついた結果、全体はクリーンやピュアなイメージから、野生的なものに変貌したという。
ある種の不純さも受け入れたような、あるいは侵食された物が持っているような逞しさもあるという。
もはや、現地に行って体感したとしか思えない。最初の叩き台からのからまりつきを頭で辿りたい。
デジタルでインプットできるところを設け、駅など人目に着く場所での告知。熱量が増幅する仕掛け。
一目でわかる絵や巧みなテーマの絞り込み、建築構造上の特徴など様々な工夫や挑戦だらけだ。
何かがからまる余地のある建築。これがあれば生きている世界のありようと同じ視線で見れる。
この建築の責任者の平田さんが言われた言葉だ。これ概念はもっと広げていきたいと思う。
建築に限らず、身の回りの道具やモビリティ、道路などにもからまりしろを持って欲しい。
一番大切なのは、共通の強い想いのるつぼ。SDGsの17のゴールにも当てはめてみたくなった。