浸る。

この数年、特別な空間の中に身を置く機会に恵まれている気がする。
その空間はどちらかと言えば静寂で、浸るという言葉が似合うように思う。
染み入るという感じかもしれない。その空間の中に溶け込み、一体となる。
そんな新しい体験だ。人工物ではない、自然のものに囲まれて心が落ち着くのが分かる。

そんな特別な空間と似合うのはなんだろうか。何を前後に体験するのが良いだろうか。
まずは風景や自然の営みだ。日の光、星の光、火の光、石や岩、海や山。他に何もないのがいい。
視界に入るもの全てが自然だと心地よいような気がする。地球を感じられると思う。
次に思い浮かぶのは、食だ。自然の恵みを頂く。自然に囲まれながら頂けたらとても幸せだ。

地の食材、新鮮な食材をプロの手によって供される。豊かな空間の中でゆっくりと頂く。
ワインもいいが、地の日本酒を飲む。この地で採れたものがお酒になるまでを想像する。
美味しく頂いた後は、やはり余韻に浸りたい。自然素材に囲まれた宿でゆったりする。
充実感に満ちた身体を浴槽に預け、1日を回想する。記憶に焼き付ける感覚だ。

自然と触れ合い、自然と対話をする。今を感じ、未来を覗く。妄想する。そこからはじまる。
そして、改めて地球に生きている奇跡を感じ、地球を大事にしたいという心を取り戻す。
自然を堪能し、目や記憶に焼き付ける。身体を休め、身体に優しい時を過ごす。
清々しい朝、地の素材を使った朝食を頂き、気持ちを新たに、新たな価値を作るたびに出る。

今の世の中、人工物が溢れている。人工物がないと生きていけない。確かにそうだと思う。
でも、自然と触れ合うことは何よりも大事なことのような気がする。心が整うと思う。
プレッシャー。ストレス。ノルマ。すべて過度になるとだめなものだ。切り替えが必要だ。
心身を整えて、本来の目的を常に見失わない。浸る時間を作って、貫きたいと思う。