会社員ならおそらく聞いたことのある言葉だと思う。競合企業の強さを調査・分析することだ。
同業種のトップ企業のベンチマークをするので、多くの場合、調査を外部に依頼して実施する。
商品やその売り方、サービスの提供の仕方。価格や販促までかなり細かな項目が対象だ。
送料無料、お届け日数、営業時間、清潔さ、提携カードなど、付帯サービスなどもみていく。
投入リソースの指標や活動量の指標、人員・面積あたりの売上などといった結果指標もある。
複数社やる場合も多い。結構な分量の作業だ。一通り終わると項目毎に自社との比較を始める。
当たり前だが、項目毎に比較をすると、トップ企業でもない限り、自社が劣後する項目が多い。
複数社のベンチマークをした場合には全ての項目でどこかに劣後するというケースすら出てくる。
使い方で一番悪いケースは、なんとかして全ての項目でトップ企業に追いつこうとすることだ。
想像の通り、トップ企業は規模も収益率も高い。故に、何をやるにしても大きな投資ができる。
全方位の投資ができる。トップ企業は様々な顧客に支持されるよう抜け漏れのない努力をする。
そんな戦い方をしたら、勝ち目がない。でも多くの場合、1つでも多く、追いつこうとしてしまう。
特に、ベンチマーク項目毎に、担当する部署に改善を指示するケースでは顕著だ。
与えられた項目でいかに早く追いつけるかが目的になる。部署間の手柄争いが始まるのだ。
いつの間にか顧客に喜んでもらうという根本が見えなくなっていく。上手くいくはずない。
一方、顧客起点で事業全体を俯瞰すべしと、経営者が音頭を取ると違う戦い方が見えてくる。
今は誰が顧客か。大事にすべき顧客はだれか。その顧客は何を評価してくれているのか。
その評価をもっと高めるには何をすべきか。突き詰めるべき「自分達らしさ」は何かだ。
ベンチマークを忘れることが大事だ。気にしない項目、敢えてやらない項目を作る。
そろそろ真似をやめる勇気を持ちたい。ベンチマークから学ぶなら異業種だ。新たな道が開ける。