「日常時」と「非常時」という2つのフェーズをフリーにする。
普段使っている日用品が、非常時には防災用品になるという考え方だ。
この10年地震や豪雨など災害が増えた。しかも規模も大きくなっている気がする。
そうした世界の変化を見れば、あるべき進化の方向性として極めて合理的に感じる。
これまでの防災グッズは倉庫にしまってあり、それを災害時に取り出して使っていた。
ヘルメットや軍手、水や乾パンそして懐中電灯などが袋の中に詰め込まれている。
オフィスなどで人数分用意すると、広い場所をとり大変だった。中身の交換も必要だ。
そして、残念ながらそれだけがあっても非常時の生活はままならない。
地震があると避難所の姿がテレビに映し出される。狭いところにひしめきあっている。
1日で避難生活が終わらず、何日も何週間も続くケースもある。
そんなとき、プライバシーが問題になる。プライベートな空間をどう作るかが課題だ。
外から見えない、音や匂いが漏れない空間をうまく作れないかと考える。
避難所が体育館の場合もある。備品は、マット、跳び箱、平均台、カーテン、旗などなど。
これらは、日常では主に運動に使う道具として活躍している。もちろん、非常時には使わない。
ならば、非常時にも活躍できるような仕掛けを持てるといい。分解して組み立てると姿が変わる。
例えばテントを組み立てる。ポールは旗の棒の部分、床は踏み台かマット、カーテンの布地も使う。
必要な部品と組み立て方は、その場で、スマホを使って見られるようにしておく。
跳び箱などをうまく使えば、少しガッチリとした空間を生み出すこともできそうだ。
体育館のとなりにある校舎から椅子や机を運んでくれば、例えば、4セットで1つの小さな空間を作れる。
全員分の用意はもちろんできない。でも順番に使えば、少しだけほっとできる時間を持てると思う。