環境を育む

もう半年以上、オフィスではなく、遠隔ミーティング中心の生活をしている。
それまでも、お客様のところに行くことが多く、自分のオフィスにいる時間は少なかった。
でも、出社した時には、郵便物が沢山、決裁も沢山、慌ただしさを楽しんでいた。
会社の仲間とのちょっとした会話にも花が咲き、会社の元気度を感じることができた。

移動が無くなったから効率がいい。確かにそんな感覚がないわけではない。
でもリモートでは、なんとなくリズムを作ったり、気分転換したりするのが難しくなった。
そもそも以前から移動中の電話会議もかなりあったが、移動自体がリズムを作っていた。
完全リモートで変わったのは、移動しながら気分を変えることが無くなったことかもしれない。

そういえば、ホームで考え事をしていて予定の電車に気づかず乗り過ごすことが何回かあった。
リモートでも、アラームに気づかずに、考え事をしていて、会議に出ないことがあった。
電車の吊り広告や乗客の行動や仕草から、何気ないヒントを得ることもあった。
自宅ではラジオから何気なく耳に入ってくることに、気づかされる場面も意外と多い。

色々考えると、小さなメリットとデメリットは見つかるが、どれも些細な違いに思えてくる。
要は、リモートでもオフィスでも大事なのは、刺激とそれを感じ取るアンテナの感度だ。
つまり、マンネリな状態に陥らず、頭が活性化していること。化学反応につながる刺激を掴むこと。
改めて、本質的な目的を見据えていれば、アプローチの差はどうでも良いと気づく。

頭では分かっている。与えられた環境を能動的に活用すれば、自分の作り出した環境になる。
リモートの自由度を活かせば、アンテナを高めることもできるし、刺激を増やすこともできる。
仮想空間に、話しかけても大丈夫な人が自動的に集まっている状況を作れば、対話も生まれる。
でも、現実は「慣れ」が変化を嫌う。消極的になる。焦らず、小さな変化を重ねていきたい。