作品と能力。

どんな仕事においても成果を目指した一連の活動がある。紆余曲折も含めてだ。
その道のプロになるほど、困難を乗り越えて磨き続けた能力を精一杯使って成果を育む。
作品という成果を見ればもちろん感動があるが、成果を生み出す過程にも感動がある。
故に、なんとかして過程を伝える、そこに使った能力を捉えてもらいたいと考えている。

作品だけを見て、どうやってそれを生み出したのかを妄想し続けるという考えもある。
妄想自体が楽しみで、答え合わせさえいらないと考えている人すらいると思う。
でも、より一層間口を広げて、たくさんの人に伝えるには、別のアプローチもあると思う。
過程や、その過程で惜しみなく注ぎ込まれてきた多様な能力を切り出して伝えてみたい。

プロのように、研ぎ澄まされた多様な能力を絶妙は組み合わせで成果に繋げることはできない。
でも、多様な能力のどれかを少しだけ会得して、それを自らの日常に活用することはできる。
会得しなくても、多様な能力や価値観を脳に取り込むことはできる。視野が広がるのだ。
もし会得したければ、プロと交わりに行き、対話をすることでそれに近づくと思う。

そうした過程に触れると、成果である作品の見え方もかなり違ってくる。奥行きが出るのだ。
手触りや親近感が生まれ、もっと深く知りたいという感覚すら湧いてくると思う。
場合によっては、趣味として始めてしまう人すら出てくるかもしれない。日常の一部になる。
こうした感覚はプロの技に触れて魅了されることで生まれる。多様なプロなら尚更だ。

今の時代、閉塞感がある。かなり多くの方が感じていると思う。でも打開できると思っている。
世の中には既に多様なもの、価値観、能力、なんでも存在する。見えていない方が多い。
ならば、そうしたものに触れることだ。互いの常識、プロの技の交換をすればいいだけだ。
閉塞感。これは自分自身が作り出しているものだと思う。好奇心をマックスに生きたいと思う。