道具立て。

グループの本社ビルの2階にレストランがオープンした。少し変わったレストランだ。
腕に自信のあるシェフが自分の味を試しにくる場になっている。挑戦の場だ。
どうやらレギュラーメニューは別にあるようだが、追加メニューとして提供される。
厨房には一通りの器材が揃っているので、挑戦者はなに不自由なく腕を振るえる。

場所は虎ノ門という一等地。2階とはいっても、借りたらとんでもない金額だ。
周辺には会社員が多く働いていて、口コミ次第では行列が起きてもおかしくない立地だ。
そんなところで、自分のメニューを食べてもらえる。シェフにとっては最高の場だ。
自分の店を開くことを夢見るシェフは多いが、ロケットダッシュと言える機会となる。

資本主義が全盛期の今、どうしても資本がないと挑戦できない。そんな空気が漂っている。
レストランであれば、良い場所、良い食材はもちろん、宣伝も大手が強い。
よほどの話題性がなければ、インターネットがあっても、情報が上がって来ない。
それでも諦めずに創意工夫を続けた人だけが、人気となり大手をも上回る結果を出す。

でも残念ながら、多くの人はその途中で諦めたり、挑戦を始めないでいるのだと思う。
そんな状況に一石を投じる取り組みとなる。始まったばかりだが、これからが楽しみだ。
大人気メニューを提供したシェフが巣立って、レストランをオープンする。
料理に集中できる環境が生み出せれば、味で一点突破するのも現実味を帯びる。

確かにこれは資本主義の競争の中で、一筋の光明になると思う。でも競争は熾烈だ。
自分の得意なこと以外の道具立てが揃えば、競争力を持つことができるようになる。
でも、道具立てに加えて、もう一つ進化がいるような気がする。競争の概念の転換だ。
まだ、もやもやしているが、一物一価ではない世界かもしれない。深く考えてみたい。