値段を上げる勇気。

日本には値上げという行為に慣れていない人が多い。値上げしないことが美徳の場合もある。
定食屋であれば、確かに安くて美味しいご飯をたくさんの人に食べて欲しい気持ちは分かる。
このご時世でも、30年前と同じ価格で提供しているお店があったりする。流石に無理が過ぎる。
そろそろ値決めの考え方をしっかりと持った方が良いと思う。いや必要だと考えている。

当たり前だが、値段の基本は価値と価格が釣り合っていることだ。価値の高いものは値段も高い。
お値打ち品という言葉があるが、これは価値に対して価格が安いという意味だと思う。
他で売っている同じものよりも安く売ることですぐに捌きたい。そんな思惑があるのだと思う。
要するに価値と価格のバランスを崩せば早く売れていく。このアプローチは好きではない。

同じものでも、高く売ることが正しい事がある。山頂での飲食などはこれに該当する。
運ぶコストももちろんあるが、山頂という特別な場所でのサービスという事で価値が上がる。
似たような話だが、今このタイミングでどうしても欲しいという状況も価格が上がる。
でも、これらはバリエーションであり、基本は価値と価格が釣り合うのが良いと思う。

とはいっても、価値はどうしても人それぞれの感覚に左右される。故に値決めは難しくなるのだ。
大事なことは、持続的であること。儲けも持続するには間違いなく重要だ。一定の余裕を持つべきだ。
できたら、常に独自の要素を盛り込み価値を上げていって欲しい。これが出来ると世界が変わる。
需要が供給を上回るようになるからだ。そうなると価値は高まり、値上げが正当化されるだろう。

もし同じものを出し続けるなら、仕入れの値上がりは少なくとも価格に転嫁すべきだ。
それどころか、仕入れの値上がり率と同じだけ、自分の利益も増える値付けをすべきだ。
自らの利幅を削って価格を守るというマインドは特別な対象を除いて、やるべきではない。
書きながら思ったのは、値上げムードとか雰囲気が大事だということだ。どう作ればいいのだろうか。