最近、伝統芸能に触れることが多くなってきた。劇場での観劇はなかなか良い。
劇場に出向くまでのワクワク感、劇場で席を探す時の期待感。なかなか楽しい。
劇場のロビーには、おみやげ屋や弁当屋が立ち並ぶ。まるで出店のようだ。
開演間近のアナウンスが始まると、いよいよかと、心待ちにしている自分がいる。
残念ながら、これまでは劇場的なところと言えば、何度も来たのは映画館くらいだと思う。
もちろん、友人に誘われて、ミュージカルや伝統芸能もいくつか見てきた。
でも、本格的な伝統芸能を見る、それも長編のものを見る機会はこれまでなかった。
その道のプロが演じる姿からどんな刺激を受けられるか。一番の楽しみはそこだった。
初心者にとって、第一印象は大事だ。物語もできたら幸せな感じのものが良い。
物語自体が暗いと、せっかくのプロの技に集中できない。でも、喜怒哀楽は欲しい。
人の感情の振れ幅をどう表現するのか。そこが見たいのだ。感情移入する。
俳優であれば、顔つきや仕草、人形であれば動きと光の当たり方なのだろうか。
からくりはよく分からないが、とてつもない技だということは理解できる。感動する。
ぐぐっと、演目の世界に入り込んでいく自分がいるのに気づく。引き込まれたのだ。
初心者にとっては、入りやすい物語と見どころとなる技があるだけである意味十分だ。
プロの技に釘付けになり、次への期待が生まれてくる。奥行きが見たくなるのだ。
まだよく分からないが、伝統芸能はとてつもない奥行き、地層のような積み重ねがあるはずだ。
数回鑑賞したくらいでは、おそらく足を一歩踏み込んだくらいだろう。そこで十分満足だ。
仮に、奥行きや真髄をこれでもかと見せつけられたら、理解不能に陥るかもしれない。
あ、間口を広げて初心者の満足と期待感を生み出す。もっとここに向き合っても良い気がしてきた。