もやもやした感覚。

最近、美術館や博物館に行くことが多い。単に仕事だからではなく、かなり気になるからだ。
週末にもいくつかの美術館に出向いた。独創的な建物と細部まで設えた空間。光の演出も素晴らしい。
建築家やクリエイターには脱帽だ。どうやって日常とは全く異なる空間を生み出しているのだろうか。
街の至る所にもアートがある。街に新たな風景を足して、記憶に残る独特の魅力を放っている。

美術館の展示作品は、多くの場合、世界的に有名なアーティストの作品だ。確かに見応えがある。
期間限定での展示もあり、日本中から、世界中から特定の作品目当てで人が集まってきているようだ。
もちろん、地元出身のアーティストの作品を取り上げたエリアもある。素晴らしい作品だと思う。
でも、印象に残りづらい。世界的アーティストの作品がメインと感じてしまう自分がいる。

街のアートは、現代アートが多い。オブジェを置いたり、古民家を改装したり、色々な企画がある。
著名なアートディレクターによる企画は、足を運びたくなるし、行けば確かに見応えがある。
アーティストインレジデンスという新鋭の作家が住み込みで作品を作る仕掛けもある。
街の日常に溶け込み、街で作品を作っている。でも良く分からないまま通り過ぎる自分がいる。

ふと気づく。自分のやっていることは、典型的な観光なのだと。かなりミーハーな感じだ。
いつのまにか、世界的に有名な作品を見ること、人気のスポットに出向くことが目的になっている。
施設側も、街も、観光客がたくさんくることで経済効果を生み出すことに注力している気がする。
確かに収益は大事な要素だ。でも、本当にこれで持続的なのだろうかと感じてしまう自分がいる。

色々なもの、評価されたものを見て、様々な刺激を受けることをもちろん否定することはない。
確かに、自分のものさしを作る上で広く浅くも役に立つ。でもぐっと深くはいることも大事だ。
アーティストと対話をして、発想のヒントを得ることもやりたい。想いのある方との話は刺激的だ。
自分で手を動かしてもいい。未知の世界に踏み出せる。文化を育む主体になりたいと感じている。