新たな価値に溢れる社会

何か商売を始める時、常に頭を悩ませるのはその商品やサービスをどう売るかだ。
既存の商品やサービスには売る仕掛けができているが、そこに流すのは簡単でない。
これまで作り上げてきた流通チャネルを新参者にそう簡単には開放しないのだ。
決して意地悪をしているわけではない。流通チャネル自体を作るのに投資をしてきたからだ。

作り上げた流通チャネルにどの商品やサービスを載せるかも慎重に検討して決めてきた。
載せる数もある程度限られていたと思う。つまりは選ばれた限られたものだけが載る。
そんな仕掛けの中で、流通チャネルの独自性を打ち出し、品質も担保していたのだと思う。
商品やサービスを作った人より、流通チャネルを持った人が力を持つケースも多くなった。

一方で、デジタルの技術が発達する中で、誰でも商品やサービスを作れるようにもなってきた。
ものづくりの技術も少量多品種に対応できるようになり、プロトタイプ製作が簡単になった。
クラウドファンディング、YouTube、SNSなどで世の中に発信する仕掛けも増えている。
以前よりも明らかに、新しい商品やサービスが世に出る機会が増えているように思える。

とはいえ、新たに生まれてきた仕掛けをうまく活用するのもそんなに簡単ではない。
種類もたくさんあるし、それらを使いこなすにはデジタルへの一定の理解が必要だ。
その結果、学ぶべきことは多くなり、商品やサービスづくりになかなか集中できなくなる。
仕掛けに載せるところを、代わりにやってくれるサービスもあるが、費用面でハードルがある。

新たな価値を世の中に生み出す。社会を活性化して経済を回すには不可欠なことだ。
より多くの人が、新たな商品やサービスづくりに挑戦していける社会が求められている。
創りたくなるきっかけ、作るべきもののヒント、買いそうな人との繋がり。豊かな利用シーンの妄想。
これらを提供する仕掛けも欲しい。「成功払い」でのサポートはできないだろうか。考えてみたい。