コンサルティングを始めて最初の10年は競合調査、いわゆるベンチマーキングも多かった。
そのお陰か調査能力はだいぶ高まった。欲しい情報に辿り着くまでのスピードが上がった。
コツは調べたい項目ではなく、想定される答えで検索すること。項目ではなく、答えだ。
文章として存在する情報には、項目ではなく、言いたいこと、つまり答えが書いてあるからだ。
妄想力が高ければ、妄想した幾つかの答えから必ず欲しい情報にマッチした文章が検索で引っかかる。
1つの答えが見つかれば、そこから異なる見解なども芋づる式に出てくる。こんな具合だ。
このアプローチは別の意味でもとても重要だ。ベンチマーク調査の項目全てでやれば効果は高い。
調査する前から、予め全ての調査項目を俯瞰して事業の全体像を立体的に意識できるようになる。
他のメリットもある。妄想力がどんどん高まっていくのだ。表現力にバリエーションも持てる。
項目がたくさんあるから、それぞれにそれなりの数の答えを妄想する。妄想総量はかなり多くなる。
その際、頭に浮かんだ妄想の答え1つに対して、それなりの数の検索キーワードを試していく。
ここでは言い回しのバリエーションを考えながら試していくのだ。もはやクイズといった感じだ。
全体を通して、とりわけ大事だと考えていたのは、調査全体から導かれる取るべき事業戦略の仮説だ。
ベンチマーク結果をクライアントが見て、どう感じて欲しいかまで突き詰めて考えておく。
項目が少ないタイミングでは色々な仮説に行き着く可能性があるが、項目が増えると仮説が絞られる。
よって、ベンチマークの各項目の結果は、全体仮説との整合を見ながら意識的に整えていく。
ここには賛否両論がある。ファクトを淡々と恣意性を排除して並べるべきだという考えもあった。
でも、自分の中でのベンチマーキング調査の定義は、意思決定につながる示唆と刺激出しだった。
故に、調査結果を何度も見直し、自然と導かれる事業戦略に自信が持てるまで練り続けていった。
気づけば、ベンチマーキングは戦略立案になっていた。きづいてもらえたら成功の戦略提案だ。