構想を打ち立てて、新たな行動や新たな価値を創造する。この挑戦は楽しい。
もちろんリスクはあるが、ありものを組み合わせて素早く無から有を生めるとかなり楽しい。
一方で、これまで大きく育ってきた既存の価値は、リスクも低く、収益も確実だ。
ついつい既存価値を改善していく、少しでも長く収益を生むための努力をすることに力が入ってきた。
とはいえ、最近では、既存価値が突然死に近い形で急速に萎む事例が幾つもでてきている。
自動車業界のCASEはその典型だ。一気に電動化が進み、エンジンやその周辺部品の市場は様変わりだ
新規の事業、それも柱になる事業を立てなければと、本腰を入れる経営者がかなり増えてきたと思う。
但し、骨太な活動にすべく、専門組織などを立ち上げているが、まだまだ手探りも多いように感じる。
大事なことはやはり、どんな価値を社会に提供する会社になりたいかという企業の存在意義だ。
新たな事業の柱は、その存在意義に貢献する事業を束ねることで生み出せると考えている。
柱は、以前のように、ヒット商品の大量販売といった単純なひとつの事業にはなりにくい。
存在意義に貢献できるたくさんの事業を積み重ねていくことで、柱としての太さに届くのだ。
一つひとつの事業は小さくとも、それらが重なり合うことで、存在意義を示せるようになる。
一つひとつの事業は、別々の人の創意工夫でもいい。できれば同時並行でたくさん進めていきたい。
中には、事業として成功するもの、成功しないものも出てくる。ポートフォリオで考えていく。
成功しなかったものからも学べる。同じ存在意義に貢献する別の事業には必ず役立つからだ。
自社の存在意義をしっかりと据えた素早い事業展開は極めて効果的かつ効率的だと思う。
成功を重ねていくことで、既存事業にも負けない柱ができる。失敗は小さく、損失より学びになる。
社外から「あの存在意義ならあの会社だよね」と、認知されるようになれば、自然と仲間が増える。
事業を量産する/総量を増やす。存在意義に向かう多くの事業を仲間と共に生み出していきたい。