車の使い途

もうだいぶ昔に車の免許を取った。その当時の車はモテる男子の典型的なアイテムだったと思う。
キャリアやチェーンをつけて、スキーに出かけるのも定番だった。夜景という選択肢もあった。
いかにチェーンをつけるのが速いか、知る人ぞ知る夜景スポットに詳しいかで競っていたように思う。
自作のカセットテープで洋楽や歌謡曲をかけながらみんなで盛り上がったのも懐かしく感じる。

大学時代は車と過ごす時間が長かった。夜は必ずと言っていいほど、車に乗った。酒より車だ。
車で寝ることもしょっ中で、トランクには毛布が常備されていた。ほぼキャンプ状態だった。
年間の走行距離は4~5万キロ。ガソリン代を稼ぐためにバイトをしていた気がする。食べ物よりガソリン。
週末には峠にもよく走りにいった。さすがにこれは一人だ。ただ、峠には顔馴染みがいて、技を競った。

100泊は大袈裟かもしれないが年間50泊くらいはゆうに車で寝泊りをしていた。お風呂は銭湯か先輩の家。
シガープラグから100Vの電源を取り出し、掃除機やポットも使った。当時はパワーが足りなかった。
トランクはロッカーの役割もしていた。テニスやゴルフのクラブ、着替えなどちょっとした収納だ。
最初はナビはなかった。きれいな公衆トイレも含めて、道は全て頭の中で記憶していた。抜け道も得意だった。

家の側に来ていたのは移動販売車だ。パン屋、焼き芋屋、八百屋が定番だった。メロディと共にやってきた。
もちろん働く車もある。消防車、救急車、献血車、パトカー、トラック、バス、タクシーなど様々だ。
最近ではキッチンカー、移動図書館、ドローンの移動発着場、移動試着室、サファリカーなどもある。
車を空間として活用して、様々な仕様を作り、ニーズのあるところに移動していくというビジネスだ。

これからも使い途は増えていくと思う。色々な人が様々な選択肢を選択できるようになっていくと思う。
ある場所まで出向いてそこに準備されている車で体験する。車が家までやってきて体験する。
事前に空いているスロットを確認して予約するシステムだ。もちろん、空いていれば直前でも使える。
ニッチな用途の体験、田舎での不便の解消等、密度の上がらない用途には移動がいる。車が活躍する場は広い。