事業創造の武器

武器といって戦って打ち負かすための武器ではない。「事業創造に役立つ道具」といった意味合いだ。
戦いに勝つかの如く、いくつもの壁を打ち破り事業創造に行き着く。それを実現する道具だ。
壁の種類や厚さ、打ち破るのに掛ける時間などに応じて、臨機応変に使う道具を変えなければならない。
事業の具体像を作りながら進むため、どんな壁にぶち当たるか分からない。どんな武器が必要かも分からない。

一方で、事業創造はスピードが勝負だ。いいアイディア、構想でも、すべて唯一無二になることは稀だ。
例えば、働き方など、特にトレンドに即したテーマの場合、類似の構想が出てくることが多い。
競合に先に出されると厄介だ。競合は顧客のフィードバックの下、改善のサイクルを回してくる。
よほどの構想でない限り、顧客の声を反映した改善、積み上がる経験知に対しては分が悪い。

構想をつくるのも、改善サイクルを回すのも、やはりスピードが勝負となる。スピードを上げる方法論がいる。
例えば、作りたい料理があるとき、レシピがいる。レシピがあればそれなりのクオリティの料理が出来上がる。
ただ、新しい料理をつくるときには、使うレシピがない。レシピを作ることが必要になる。
似たようなレシピから選ぶという荒技もあるが、それではオリジナリティのある新しい料理はできない。

一流の料理人はどう新しい料理を作っているのか。話したことはないので妄想だが、おそらくこうだと思う。
これまで作った数々の料理に使ったレシピを思い浮かべる。そのレシピを基本要素に分解してみる。
料理のイメージに合わせ基本要素の新しい組み合わせをたくさん頭に浮かべる。それらを実際につくってみる。
素材や調味料の分量、火入れ具合などなど、微調整を加えていく。足りない基本要素を見つけて足していく。

経験に経験を重ねる。こんな味わいを出すにはこの辺りの組み合わせが良い。この辺りはだめだと見えてくる。
様々な味わいを頂点にした基本要素の組み合わせの体系がおぼろげながら見えてくる。
各基本要素がどういう形でどんな味わいに効いているのかが掴める。これが冒頭でいっている武器だ。
最終成果物と各基本要素の紐付け。この感覚を常に持ち、仲間と共有。紐付けを沢山持つことで速度が上がる。