宿の好み。

ここ数年、スケジュールと睨めっこしながら、ワーケーションを試みている。
基準だが、まずはなるべく滞在時間が長い宿だ。チェックアウトは12時が嬉しい。
12時までだと朝3-4つのミーティングができる。まあ、中々ないので11時でも我慢する。
あとはできれば眺めの良いところがいい。遠くの景色を見ながら考え事ができる。

ワーケーションの目的は、単に気分を変えての仕事に留まらない。別の目的がある。
この5年、文化観光なるものに取り組んでいるのだが、文化の体験価値が重要だ。
その体験は、単に文化財を見て回ると行ったモノではなく、暮らしを感じるのが良い。
歴史的に重要な文化資産がどのように活用されていたのか、その一端に触れる旅だ。

さらに、その歴史の上にどんな営みを重ねて今に至るのかを妄想する旅でもある。
始まりの世界以外の全ての文化は、それまでの文化の上に育まれてきたものだ。
故に、その土地土地の独自性がある。それをしっかりと深く堪能するのが面白い。
今を生きている自分にとって新たな刺激となり、文化と文化の交わりが生まれる。

宿の果たす役割も大事だ。当たり前だが人の暮らしには食事と住まう家がある。
宿にはその土地の営みが無意識的にふんだんに盛り込まれている。それが魅力だ。
都会のラグジュアリーホテルも便利で気分も上がる。でも土地の宿には深さを感じる。
もちろん設備を比べれば断然ラグジュアリーホテルだ。でも土地の宿は深呼吸できる。

ラグジュアリーホテルはタオルやアメニティが良い。単純に肌触りや感覚が安らぐ。
研究し尽くされた技なのだと思う。高層ホテルは眺めも良い。夜景が綺麗だ。
ただ、最近は夜景より朝焼けを見るのが好きになっている。夜景は残業を想起させる。
まあ、職業病なのだろう。少し地方の宿を増やして仕事をしてみたいとも思っている。