青春の空間。

20年くらいお世話になっていた空間がある。大勢でも1人でも訪れた空間だ。
そこは夜8時ごろからオープンする。少し暗くて、カウンターとソファのある空間だ。
もちろん、お酒を飲める。1人でカウンター、大勢でソファ。どちらも心地よい。
すぐに出てくるのはおつまみだ。簡単な乾き物が多いが、いつの間にか好きなものだらけだ。

お酒はボトルを入れていた。アイラのシングルモルトが多かった。何本か常にあった。
ある時、グラスを持ち込んだ。ドイツ製で机の上で回すと、くるくると回り続ける代物だ。
飲みながら何気なく回すと、アゲアゲの気分になる。そんなマイグラスをキープしてくれていた。
黄色いネジネジなるものもあった。のど飴だ。ある時出してくれたが、病みつきになった。

オープンしてしばらくすると、雰囲気がガラッと変わる。演奏が始まるのだ。
店主のギター、キーボード、ベースとドラム。フルバンドが生で演奏してくれる。
そして、なんとボーカルはお客さんだ。常連さんが多く、代わる代わる歌う。
一番最初に歌う時は超絶緊張した。でも歌い終わると感動が溢れてきたのを覚えている。

いまでも緊張してはいるのだが、だいぶ落ち着いてきた。楽しめるようになっている。
常連さんの歌を聞くのも、自分で歌うのもとても気持ちがいい。音楽は気持ちを安らげてくれる。
でも、ふと気づく。なかなか上手くならない自分。声の調子が悪い自分。気持ちが落ち着かない自分。
そんな自分も、しばらくするとどこかに飛んでいく。単純にその時を楽しむ自分だけが残る。

一昨日は、その店が閉まる日だった。とにかく毎日仕事を続けてこれたのもこの店があってこそ。
常にリセットをして、次の日の活力をくれた店だ。落ち着ける居場所だったと思う。
まずはお疲れ様。なによりもありがとう。でも、やはりまだまだ必要だ。いや絶対必要だ。
次なる展開が待ち遠しい。みんなの元気を作る店はなくてはならない。それを楽しみに仕事をしよう。