湯呑み

何の気なしにスツールの上に置いてあった湯呑みを描こうと思った。
そこで取り出したのがiPad とApple pencilだ。でもアプリは入っていない。
すぐさま検索してみた。すると知った名前が出てきたのだ。Adobeだ。
Adobe frescoというもので、frescoは漫画にも出てきた言葉だ。

frescoとは、漆喰が乾かないうちに、水だけで溶いた顔料で描く技法だという。
漆喰を1日に描ける分だけ塗って描くから、fresco=新鮮という事らしい。
あ、そう言えば京都にある地場のスーパーはfrescoだ。新鮮さを売りにしている。
アプリを開いてみるとチュートリアルがあった。どうやらfrescoだけではなさそうだ。

描くにあたってまず思った事。外型を一度の筆捌きでは絶対に描けないということだ。
であれば、線を重ねて描いてみれば良い。と思いながら筆的なものを選ぼうとした。
油っぽいもの、水墨画的なもの、鉛筆、ボールペン⁉︎、色々出てくる。微妙に設定も変えられる。
白地のキャンバスに色々書いてみた。細くないもの、筆圧で色が変わるものが気に入った。

アニメを見てその気になって描く一枚目。ハードルは上げたくなかった。
だから10分で描き上がるものと決めた。書き直しもなるべくやめようと思った。
なんとなく背景から描き始めた。湯呑みだけを描くのは粗が目立ち過ぎると思った。
背景に目がいくことで湯呑みだけより全体の構成が生まれる。そんな気がした。

筆圧で色の濃淡と線幅に緩急をつけながら書き込んでいった。なんか物足りなかった。
あ、思い出した。指で擦ったりできる。技法をいくつか試した。背景はなんとなくできた。
いよいよ湯呑み。たくさんの線を重ねて描いてみた。なんとなく形にしてみた。
周り込み、影はあまり意識できなかった。10分が経った。これはこれでありにした。