枯れた技術

世の中、最先端の技術に目が行きがちになる。確かに最先端はかっこいい。
話題になった時にも派手だし、目立つ。羨望の眼差しを向けられると思う。
一方、枯れた技術だと、まず疑問符から始まる。今更その技術なの?
地味で目立たないので、注目されることもない。なんか寂しいとは思う。

でも、枯れた技術は磨きようによってはとんでもない輝きを放つことがある。
3つの球の全方向移動機構というのにであった。50年前からの技術らしい。
いわゆるロボットの足の部分として活用するものだが、なかなかの優れものだ。
ハンドルもないのに、どの方向にも瞬時に動き出せる。ミリ単位でだ。

なんど、上から重さが掛かるほど地面を掴む力を発揮する構造になっている。
球の大きさにもよるが、1トンくらいのものを載せて運ぶことができるという。
しかもミリ単位の位置調整ができる。もちろん、移動は手動でも自動でも行える。
自動運転のソフトも最先端かといえば、そこまででもなさそうだ。

要するに最先端ではない技術を組み合わせて生み出した製品なんだと思う。
でも、ハードウェアを徹底的にシンプルに研ぎ澄ます。妥協を全て排除する。
そうすることで、そんなことができるのというレベルに到達したのだ。
出来上がって動いている姿を見ると、突然最先端が生み出されたのに気づく。

技術は枯れたているか、最先端かではない。目的のためにシンプルに組み合わせる。
これが大事だと思う。出来上がったものはとても美しく、使いやすいはずだ。
おそらく、これからはある意味すべてが枯れた技術にすぐなる。であればやることは1つ。
これを生み出したいという意志を持つこと。そして枯れた技術も含めてしっかりと検討することだ。