昭和の音楽。

イントロクイズの如く、始まった瞬間にぱっと歌詞が蘇るのが昭和の歌謡曲だ。
もちろん、当時の代表曲、大ヒット曲なので相当回聞いたと思うが自分でも驚く。
一番であればほぼ間違いなく歌えるものが多い。決してカラオケでは歌っていないものもだ。
歌い始めると不思議で、完璧ではないにしてもその当時の振り付けさえ思い出してくる。

最近の曲はこうもいかない気がする。なぜだろう。幾つか理由があると思う。
一つ目は歌のスピードの違いな気がする。昔の曲は歌詞を聞かせるスピードだ。
一旦聞けば分からない箇所などほとんどなかった気がする。内容まで頭に入ってくる。
一方、最近の曲はどれだけ歌詞が詰め込まれているんだと思う時すらある。

何回か繰り返し聞かないと、歌詞カードの歌詞すら追えないことがある。
でも、リズムやノリ、音楽としての魅力はもちろん高く、塊として頭に入ってくる。
故に、歌詞を正確に覚えることもないし、その塊として楽しんでいることが多い。
昭和の曲のメロディーと歌詞という関係とはまったく異なるものになっている。

もう一つの理由としては、歌い易さだ。昭和の曲は歌うだけなら簡単なものが多かった。
もちろん、簡単が故の難しさ、うまく歌うことの難しさはあるが、なぞるなら簡単だ。
聞かせるレベルに行くのはとても難しかったが、訓練すればなんとかと思わせた。

一方、最近の曲は難所だらけで、それぞれのパートを音符通りに歌うのが至難の業だ。
息継ぎはできないし、音程を合わせること自体も難しい。その上に歌詞なと無理に近い。
どこかで諦めてしまう。聞くことに集中してしまい、再現などする意思がなくなるのだ。
あと、主旋律すらわかりにくい。歌も数十年で進化、複雑化してきた。世の中と同じだ。