世界一。

大学の頃、論文を出すなら一流紙に出せ。指導教授が常に拘っていたことだ。
世界に通じる論文を書け。世界中で引用される論文を書け。そう言われていた。
その当時、その意味があまりピンときていなかったような気がしている。
もちろん、一流の雑誌に載ることは嬉しいが、その真意は分かっていなかったように思う。

社会人になって既に30年を超えるが、世界一という言葉はあまり聞かなくなった。
特に自分自身で、世界一を目指すということはほとんどなかったように思う。
オリンピックの世界一はもちろん耳にするが、自分事とは大きくかけ離れていた。
コンサルタントという仕事の中では、世界一、特に世界初は求められていなかったかもしれない。

この世の中に全く存在していないコトは、こちらの妄想であり、正しさが立証できない。
そんな感じだ。そんな中、少しでも新たな価値を生み出そうと、色々な工夫はしていた。
多くの要素は同じだが、一部で新たな要素を加えた新サービス。これはよく試した。
あまり新たな要素の割合を大きくすると、妄想に近づき、参考情報になってしまう。

だんだん妄想の角は取れ、底堅いアイディアへと収斂していく。ワクワク度が下がっていく。
そんな時は、10個のアイディアの中に妄想を1-2個混ぜてみた。せめてもの足掻きだ。
底堅いものがほとんどだと安心するのか、妄想を面白おかしく議論し、注目してくれた。
とはいえ、それらの妄想はすぐに日の目をみることはなかった。でも記憶には刻まれた。

5年、10年経つと、以前のお客様からたまに声が掛かる。昔の妄想が世に生まれたと。
残念そうに、もっと頑張っていたら自分達が新たな価値を世の中に送り出せていたと。
いま、コンサルタントを離れて、コト起こしに注力している。凄い夢を持った人と一緒だ。
ここでは当たり前のように、世界一という言葉が出てくる。さあ世界一を改めて目指していきたい。