文化を楽しみ多様性を育む

二拠点生活に再び注目が集まっている。ワーケーションという新たな形態も出てきた。
これらは都会での日常、つまり当たり前に慣れ親しんだ生活に、新たな暮らし方を足し算するものだ。
移動という時間は、どうしても必要になってくるが、1箇所にいるのとは明らかに違う刺激がある。
移動自体も時間の使いようで有意義にできるし、二拠点生活は多様性の理解、実践にとても役に立つ。

文化とは、「社会の中で共有される考え方や価値基準の体系」とある。多くの場合、場所に紐づく。
故に、二拠点生活は異なる2つの文化を行き来する生活だ。都会と田舎では、文化は大きく違う。
古くからの風習や自給自足の生活は、田舎にはあっても、都会にはない。田舎の大事な文化だ。
都会は都会で、極めて効率的、やりたいことはなんでも手軽に実現可能だ。我慢のいらない文化だ。

海外旅行なども日本とは異なる文化に触れたいという欲求だ。陸続きでないので文化はだいぶ異なる。
旅先では驚きの連続だ。食文化も違えば、生活のリズムも異なる。そもそも建物やデザインも違う。
ここでもキーワードは非日常だ。今の自分の生活とは明らかに異なる生活を体感してみたいのだ。
その土地で大事にしていることに、体験の中でたくさん触れることができると心が大きく動く。

場所と紐づかない文化もあるように思える。生活全体ではなく、生活の1シーンを切り出したものだ。
自分の好きなものを集めたり、深く広く知ろうとする感情や行動に紐づくものだ。趣味の世界だ。
代表的なのは、まんが、刀剣、お城、絵画など、特定の好みのコミュニティの中で盛り上がる文化だ。
個々の作品に込められた想いや技法、作品と作品の繋がりなど、文化をいくらでも深堀りたくなる。

非日常と趣味という2つの世界。これらは自分の属している文化と異なる文化への興味や関心だ。
異なる文化と触れると、刺激になる。自分の文化においても試してみたくなるものが見つかる。
2つの文化を行き来したいという願望も生まれる。自分の文化の良さと両立したいという願望だ。
様々な文化に少しの時間でもどっぷり浸かる。多様性を持つには、こんな体験が必要だと感じている。