顧客に寄り添う。

事業を成功させるには、しっかりと顧客のニーズを探索することが大事だ。
まずは顧客をしっかりと観察して、その上で実際に話を聞いてみるのがいい。
王道の進め方だと思う。でも、ここまではいいが、実はここからが難しい。
個々に色々あるニーズの何に応えるのか、どう応えるのかを決めるのは簡単ではない。

多くのニーズ探索で出てくるのは、不満だ。多岐にわたるが価格は必ず上がる。
そして、競合もいることから、低価格化に踏み切ることが多い気がする。
もちろん、他の不満もできる限り解消するが、低価格化のインパクトが大きいと考える。
故に、原価を上げない形で不満を解消し、その上で原価低減による低価格化を進める。

果たして、これが「顧客に寄り添った」と言えるのだろうか。もっとできることはないだろうか。
確かに、安くて、大きな不満点がないもの、コスパがいいものができあがる。
消費者はそれを買うことで一定の満足は得られると思う。お買い得な買い物をしたと。
でも、これは意外と短い付き合いなのかもしれない。消費というその瞬間の付き合いだ。

では、寄り添うというのはどんな状態だろうか。関係が持続している状態がいると思う。
話を聞くのではなく、聞き続ける。会話ではなく、対話な感じだ。互いのメリットがある。
供給側は、製品やサービスを通じて、消費側に創意工夫を促す。ただ消費させるのではない。
消費側も生活の中でのその製品やサービスのあって欲しい姿を能動的にフィードバックする。

消費する製品やサービスを選ぶのではなく、使い方を含めて一緒に作っていくことだ。
できれば、それらの製品やサービスを使って、消費側が供給側として活躍して欲しい。
その活躍も、元の供給側が支えていく。こんな循環を意識することが大事な気がする。
こんな形で寄り添えば、創意工夫に溢れ、小さな事業が次々生まれる社会になる気がする。