生活に宿る文化。

文化について考えていると、なぜか「趣味」という言葉にたどり着くことがある。
趣味とは、人が自由時間に、好んで習慣的に繰り返しおこなう行為、事柄やその対象のこと。
人が熱中している、または詳しいカテゴリーのことだ。人が時間を投資しているものだ。
さらに、物の持つ味わい・おもむきを指し、それを観賞しうる能力を指すこともある。

趣味が良い、悪いは、ある人の趣味を他人から見てどう感じるかという話だ。
趣味を持っている側も、それを評価する側も、あくまでも主観的に捉えていると思う。
もちろん、大勢の人々が良いと感じるものは、趣味が良いとされる傾向がある。
また、その趣味が長く続くと、次第に趣味が良いと判断されるようになる気がする。

一方、文化は「人間が社会の構成員として獲得する多数の振る舞いの全体のこと」とある。
多数の振る舞いの全体なので、要は暮らしや生活そのものである。もちろん趣味も含まれる。
また、文化という言葉を使う時、土地固有の文化という使い方をする。ユニークなもので代表する。
他の地域と比べて変わった風習、その土地ならではのもの、例えば道具や建物、産品や食材などだ。

土地固有、ユニークという感覚が、趣味と密接に関わると思う。地元の人の「良い趣味」が文化だ。
土地の多くの人が生活の中で育み、バリエーションが生まれつつも、どこかで一貫性がある。
お祭りや踊りなどはまさに趣味であり、文化なのだ。その土地ならではの文化を切り出したものだ。
誰かが始めたものを、誰かが真似て、どんどん増え、何年も続いた。そして別のものに受け継がれる。

文化はいまも至る所で息づいている。ただ多様性の時代が故に、一つ一つが見え難い。
たくさんの趣味がありすぎて、同じ趣味をやっている人の数も減り、一つ一つが目立たないのだ。
でも、しっかりと探せば、その土地ならではの趣味、いや文化は生活の中に、探し出せると思う。
それを磨き上げて、更に仲間を集めて育む。普通の生活の中で当たり前に育んでいくのが良いと思う。