考えるに至る。

単にものを鑑賞する場ではない。美術館の活動内容にそう書かれていた。
来館者が、自由かつ自然な心で作品と作者に出会うことにより・・・
そこから得た感動や心の変化を、自らの思索に繋げていくことを基本方針とする。
真っ直ぐに伝える芯のある作品から作者を知り、学び、考えるにいたる3つの行動を生む。

展示空間に配置される作品を、「思索空間」と名付けている。本物の空間だ。
思索空間には没入感がいると思う。その世界観に浸れる特別な空間がいい。
密度の濃い刺激を受けて、そこに反応する自分と対峙する。化学反応をみるのだ。
捉えるところや捉え方は人によって違う。でも、思想・世界観はぐっと入ってくる。

狭い美術館は、没入感や統一感を発現しやすい。密度の濃い空間を作りやすいと思う。
一方、大きな美術館は、いくつもの世界観が同居することが多い。境界もある。
隣合った本物の空間同士が、通路という境界でつながっている。心の切り替えがいる。
個のプロデュースと複数の個を束ねるプロデュース。共に、思索空間を目指したい。

ディズニーランド。ウェスタンランド、トゥモローランド、ファンタジーランドなど。
7つの街が隣り合わせで並んでいる。全然違う世界なのに違和感がない。夢の国だ。
色々な楽しみ方があり、違う輝きを放ち、夢が多様であることも教えてくれる。
境界は掃除をするキャストとポップコーンスタンドが担っている。笑顔になる場所だ。

汗を流したり、発散したり。生きる上で必要なことだ。それを超えて考えるも増やしたい。
本物の思索空間の中で、密度の濃いメッセージを受け取る。そこでぐっと考えてみる。
その空間を記憶して、その日の食事の時、寝る前に考えてみる。目を瞑れば鮮明に蘇る。
一つの思索空間でもいい。複数の移ろいを楽しんでもいい。考えることが文化に触れることだと思う。