特許の使い方

一番最初に特許に関わったのは、大学の頃だ。教授の発明品の特許申請のお手伝いだ。
大気中で電子の数を測るという不思議な装置の特許だった。発想がすごいと思った。
非常に小難しい文に悩まされながら、どうしたら模倣などを防げるかを考えた記憶がある。
でも当時は、お手伝い感が強かったので、結局勘所は分からないまま、事務的に進んだ。

日本の製造業は、毎年、たくさんの特許を取得している。かつては世界一とも言われていた。
最近でこそ、アメリカや中国がトップを走る存在だと思うが、日本もまだまだ頑張っている。
ただ、昔は1つの特許があれば独自性のあるものが作れた時代だが、いまはかなり変わってきた。
複雑な製品を作ると、何百もの特許が絡んでくる時もある。本当に複雑になってきた。

同業で相互にライセンスをし合うケースも多い。類似した製品を作っていることが多いからだろう。
特定の製品を作るために必要な技術をどれだけ包括的にカバーしているかも強く意識している。
広く押さえておけば、素早く製品化が実現され、競争優位を得られるというわけだ。
要するに「守り」を固めているのだ。優位性を維持するのに、特許が役に立つというわけだ。

せっかくの技術や特許。もっと、いろいろな分野で活用されるようにできないのだろうか。
それなりにハードルは高い。そもそも流通させるには、流通しやすく仕立てなくてはならない。
別の分野の人がわかる言葉で、その分野の人が生み出したい価値に紐づけた形で表現したい。
それから、値付けも必要になる。価格は応相談と書かれたら、躊躇してしまうからだ。

加えて、新しく生み出したい製品やサービスの構想も必要になる。できれば沢山欲しい。
構想があると、どの特許や技術が活用できるかが格段に考えやすくなるからだ。
考えた結果をしっかりと蓄積しておけば、どう表現すると構想づくりに寄与するかも分かってくる。
知恵や技術を買い合う社会ができないだろうか。まずはカーボンニュートラルから始めてみたい。