思い込みの壁

昨日、パネル討議を行っていて、ハッとさせられる言葉があった。思い込みの壁だ。
これまでに経験してきたこと、特に繰り返し続けてきたものに、その壁は生まれる。
ひとつの習慣といってもいいだろう。続けているうちに「何故」という感覚は無くなる。
当たり前であり、疑う対象にも上がってこない。無意識にやるのでとても厄介だ。

今まではよかった。一度決めて習慣化したものは、物事を効率的に進める役にたっていた。
なんらかの目的があり、それに照らして作られた決まり事だからだ。常識的に正しかった。
でも、世代が変わり、生き方や働き方が変わり始めた今、常識が急速に変化してきている。
多様性の時代ということもあり、常識自体が万人のものではなく、多様になってきている。

そんな中、無意識にやっていること、目的が何かを思い出せないものが増えている気がする。
極端な例だが、車の開発なども一部それが当てはまるかもしれない。品質のチェックリストだ。
何十年に亘って、出た不具合の再発防止をするために新たなルールを順次加えてきた。
次の車の開発で、同じ過ちを犯さないように、お客様に迷惑がかからないように必死だ。

でも、果たして20年前に決めたルールは、今の車の開発にも全て当てはまるのだろうか。
20年の間に、車作りの前提も大きく変わり、使う技術もかなり入れ替わったはずだ。
開発者がチェックリストを見た時に、何を防止したいかの目的がわからないものもあると思う。
過去のノウハウは極めて有効だが、チェックリストは奥にある目的とセットになることが大事だ。

当たり前だが、一番大事なのは目的を見据えて、その目的に向かって意味のある行動することだ。
これまで出してしまった不具合を、これからのお客様には出さないことだ。その目的が大事だ。
社会環境が変わったように、車の環境が変わった。目的は同じでも役立つ手段は必ずしも同じでない。
まず目的を確認する。それに合わせて考える。無意識を無くす。この癖をつけていきたい。