専門家を繋ぐ人材

兎に角、今の世の中、情報がたくさんありすぎる。どんなことでも少し検索すれば何かが見つかる。
だからどんどん情報を探して物知りになろうとする。そんな物知りなるべく挑戦したこともあった。
特に車は趣味だったこともあり、かなりの物知りにはなっていった。でも同時に違和感もあった。
日常のたわいもない会話や飲み会などでは役立つことはあっても、結局趣味の域からはでない。

車の世界では、必ず自分よりもっと物知りがいた。それはそうだ。車を開発している人がいるからだ。
薄くて広い知識であれば、いくらでも揃えられるが、それぞれの本質に踏み込むのは容易ではない。
勿論、時間を使ってしっかりと頑張れば、いくつかの本質に深く踏み込んだ理解をすることもできる。
ただ仮に本質に辿り着いたとしても、当事者の理解にはやはり及ばない。中途半端感は否めなかった。

時間を費やして中途半端。これでは役に立たないと実感した。もう15年くらい前だと思う。
世の中を見回すと、本質まで突き詰めている専門家と、広く浅い知識を持っている物知りが多くいる。
でも残念なことに、この専門家と物知りの対話は、物知りからの一方的な質問攻めになる。
専門家への刺激やメリットは多くない。また単なる物知りでは専門家同士を繋ぐことに貢献しない。

日本は要素技術を突き詰めるのが好きな人種だ。よく勉強して情報をたくさん持っている。
ただ折角のこうしたアセットをあまり繋げていないのが実情だ。個々人の世界は繋がっていかない。
過去は家電なり車なり、同じ会社や組織に集まっている人材で画期的な商品を生み出すことができた。
今は「分野を跨いで新たな産業を創り出す」ぐらいのレベルで異分野の繋がりが必要となっている。

つまりは専門人材を繋ぐ人材がいる。突き詰めたが故に様々な流儀が存在する世界を繋ぐ役割だ。
専門人材との会話は、日本語でも暗黙の理解で使われている言葉が混じると、全く分からない。
だから、各専門で本質的なところにしっかりと着目して、簡単な言葉で翻訳する能力が必要になる。
更に専門家を繋いで創りたい新たな価値を専門家に問いかける能力もいる。まだまだ修行が必要だ。