加わると尖る。

街に賑わいを作る。様々な場所で取り組まれているが、大きく分けて二つの方法論がある。
一つ目は、その土地でこれまで培ってきたもの、既存の取り組みに加わるだ。
その土地ならではのものを、しっかりと言語化して、メッセージを紡ぎ出す。
既にいくつもある取り組みを、メッセージで束ねることで、大きなうねりを作っていく。

既存の取り組みに加わって、情報発信の総量が増大して、露出度が自然と大きくなる。
ある取り組みに訪れた人を、別の取り組みに誘うのも自然だ。回遊を促せる。
1日乗車券、スタンプラリー、アプリを使った周遊など、使えるツールもたくさんある。
メッセージがあると、単純に多様な見どころを回るのに比べて、満足感が高まると思う。

もう一つは、尖るだ。その土地にある様々な取り組みにも埋もれない個性を発揮するのだ。
周囲に色々あっても、目的地はその尖ったもの。他には目もくれずにまっしぐらだ。
誰が見ても日本一や世界一、類似のものがない。こんな状態を狙っていく。
いわゆる聖地といってもいい。その尖ったものの虜になった人々のコミュニティが形成される。

こうした尖ったものを作るのはなかなか難しい。でも、一つあるだけで土地に大きなパワーがでる。
仮にいくつか作れたら、それだけで賑わいのステージが何段階か高まる。でも問題もある。
尖ったものは排他的になりやすいと言うことだ。他のものとの共存できないと殺伐としてしまう。
エリアや区画を設けて、境界も含めてうまく共存を図るなど、別の工夫が必要になってくる。

加わると尖るは、組み合わせてもいい。尖るに加わることはもちろんできるからだ。
尖るの「尖度」を少し落としたものが、脇を支えれば、尖りの初心者にも優しい街になる。
食事や宿泊などは、どんな場合でも必要だ。余韻に浸れる演出があると、とても良い。
街は大きくなると懐が深くなる。複数の尖るを擁して、加えるを重ね、街づくりを進めたい。