神出鬼没

非常にすばやく現われたり隠れたりすること。自由自在に出没して居所が容易にわからないこと。
鬼神とは中々凄いことをする。でも最近はリモートワークで人も似たようなことを実現している。
画面という仮想の空間の中に、どんなところからもアクセスでき、時間と場所を共有できる。
多くのビデオ会議ツールは2次元だが、VRヘッドセットを使えば、3次元空間に没入できる。

ブレイクアウトルームといった仕組みもあり、空間を一時的に分割したり、再び結合したりできる。
VRなら360度動画の背景を次々に変えることで、あたかもワープしたかのような感覚も生める。
渋谷の街に居たかと思えば、沖縄の珊瑚礁の海の中、今度は宇宙空間など、自由自在だ。
まさに神出鬼没という能力をデジタルの力で生み出すことができる。改めて凄いことだと思う。

スマホがあれば、移動しながら時間を共有することもできる。新幹線に乗っていても可能だ。
アウトカメラにして街を歩けば、散策を共有することもできる。最近では遠隔ツアーも活況だ。
ボディシェアリングという概念も生まれている。遠隔の依頼者が現地の人を操作するイメージだ。
コロナ禍でイベントや展示会に遠隔から出向けなくなった人からの依頼があるという。

アバターに憑依した遠隔人材が営むカフェも生まれた。接客どころか、コーヒーも淹れてくれる。
注文はもちろん取ってくれるし、コーヒーもテーブルまで運んでくれる。アバターがとても可愛い。
テーブルの上にずっといるアバターとの会話はとても楽しく、話すことを目的にくる人もいる。
カフェに留まらず、人生相談、気晴らしなど盛りだくさんだ。単なる接客を明らかに超えている。

さて、人が最も神出鬼没と感じるのはどんなシーンだろうか。やはり先回りされた時な気がする。
街を散策していて、さっきの角で出会った人が、ここでも声をかけられた。こんな場合だ。
街のあちこちに憑依できるアバターが設置してあれば、こんなシーンを生み出すことも可能だ。
温かく見守ったり、案内をしたり、驚かせたり。街に賑わいを生むのに役立ちそうだ。