組み合わせの力

スピード、価値の大きさ、差別化度合い。これらは組み合わせの力で速く大きくすることができる。
自動車の世界もすり合わせの妙と言われてきたが、これらも組み合わせの上手さを表した言葉だ。
一度生み出した経験を次の経験でどれだけ活かすか、どこまで活かすかを常に考えてきたと思う。
全てを活かすと、全く同じものを素早く作ることにしかならない。組み合わせの選択が必要になる。

次の経験ではこれに挑戦する。これで顧客を唸らせる。それ以外はなるべくありものでいく。
こんな意思決定をしながらモノやコトの企画が進められている。だから次々に「新しい」を出せる。
組み合わせがしやすいような工夫もしてきた。部品であれば小さく軽くしたり、規格をつくったり。
性能であれば、実機がない中で、デジタルシミュレーションでの事前検証もできるようになってきた。

コトづくりやオペレーションでも、様々なパラメータを振りながら、あるべき体制の検証をしてきた。
さまざまな利用シーンをあらかじめ想定しながら、そうした変化への柔軟性も担保してきた。
決済、広告、物流など規格化された道具だても充実してきた。ソフトウェアも繋ぎやすくなった。
「閉じた完成したモノ」という感覚から、色々なものとオープンに繋がるコトづくりに変わってきた。

全てを自分の会社や系列の中から揃えるという少し前の感覚はだいぶ薄れてきたように感じる。
オープンイノベーションが進んだ。スタートアップの独自性のある技術もどんどん活かされている。
創意工夫が生まれる。技術を持っている側では想像もしなかった使い道で使われることも出てきた。
距離の遠いシーン、全く重なりのなかった産業の間につながりが生まれ、産業の組み替えが起きる。

地球という規模から見ると、まだ小さな芽かもしれない。でも確実に歩みは始まっていると思う。
ありたい社会の姿は単純だけど、生み出すのは難しくなってきた。常に地球に優しいかが問われる。
モノやコトを生むときに慮りたいことが増えてきた。全部を自分で揃えることなどもう不可能だ。
独自性、新しいという部分以外はみんなのものにしていく。組み合わせで価値を量産しよう。