文化とビジネス。

今の世の中、文化もビジネスも乱立している。差別化という言葉が飛び交う。
果たして文化とは、他者との競争の中で差別化を図るべきものなのだろうか。
集団の中で共有されている信条、価値観、行動のこと。人類が作り上げてきた有形無形の成果。
人間が社会の構成員として獲得する多数の振る舞いの全体。文化には色々な定義がある。

こうした定義からは、日々の営みの結果、生み出された成果といった意味合いがあると思う。
盛り上げるには演出もいるが、意図的にこれを文化に仕立てよう。これはやはり少し違う気がする。
本来は、育んでいる文化、それを育みたい人がいて、それに共感する人が増えていくイメージだ。
既に存在する価値観や行動を、こんな形で一緒にやれば、共感する人が増やせる。こんな感じがいい。

一方、ビジネスは、無から有の価値を生む、生まれたものの付加価値を高め、更なる価値を生む。
低価格を競う場合も多くなってきたが、本質は新たな価値を生むことだと考えている。
確かに差別化の有無は、事業収益上、極めて大事なポイントだった。
でも、少しずつ、ビジネスにおいても差別化より共感が議論されるようになってきたと思う。

これからの世界、文化とビジネスは急速に距離を縮めていくような気がしている。
商品やサービスや活動の組み合わせが伝える絶対的な価値観。これが重要になると思う。
文化は保護だけしておけばいいのではなく、今の時代の人々が価値を高めていく。
そのためにも、価値の対価を獲得して、更なる価値を生み出すための原資にしていく。

文化にも投資や収益、再投資といった考え方が必要になるのだと思う。
振り返ってみれば、商売が盛んなところは、文化も盛んだった。今も昔もまったく変わらないと思う。
商売で稼いだお金を、文化に注ぎ込んだ。それがいつの間にか商売にもなりお金が回る。
結果、商売と文化は溶け合った。大事なのは人々の共感だ。相対ではなく、絶対の世界だと思う。