財布の紐が緩む。

ネット社会が発展して、なんでもクリック一つで買えるようになった。
実際、とても便利だし、これからも使うと思う。でも振り返ると購入の記憶が少ない。
店の名前はあまり覚えていないし、選び方といえば、怪しくないか、安いかだ。
特に、しっかりしたメーカーの製品であれば、本物が安くくればいいのだ。

ECサイトでは一番安く買えるのはこの店だとリコメンドをくれる。
その中から、沢山の購入者がいてトラブルの出ていないお店を探して購入することになる。
おのずと、売れる店とそうでない店が選別される。売れないと値下げをして無理をして売る。
もちろん、ECにおいても、対話を重視するお店もある。その場合は少し値段が高い。

対話のあるお店は値段が少し高くても売れる場合がある。信頼に値段がついているのだ。
ネット越しでも顔が見える(人を感じる)と、やはり安心だ。納得の上での購入となる。
財布の紐が少し緩んだことになる。もっと緩むのはやはり対面だ。お店での会話が緩ませる。
ちょいと食べていきー。そんな言葉を交わしてお茶と共に試食。思わず沢山買ってしまう。

普通の価格帯であれば値段などはあまり気にしない。一連のやりとりが嬉しくて買ってしまう。
こうなると、リピートも生まれる。買い物にいくのはもちろんだが、店主に会いにいく。
さらに財布の紐が緩む時がある。同じモノであれば安く買いたいとは思うが、絶対額が上がる。
それは贈り物だ。自分では絶対に買わない金額のものを、相手の笑顔を想像しながら買ってしまう。

結局、人は人との関係性の中で、嬉しさを感じて生きている。対話があるやり取りが大事なのだ。
どうしても買わないといけない日用品。これは少しでも安く買いたいと思うだろう。
でも、信頼する人や仲間の持っているものは、少しでも高く買いたいという気持ちが起こる。
財布の紐が緩むシーンをどれだけ作るか。これからの日本に必要なことだと思う。