ライフサイクル産業へ。

製造業はその名の通り、材料を加工して部品を作り、それらを組み立ててモノを作る。
モノの性能や品質はもちろんのこと、デザインや耐久性など様々な要素を高め続けてきた。
さらにモノが欲しい時に欲しい場所で使えるように、納期短縮を極めてきた。
価格も頑張った。原価低減などの改善を続けて、良いモノを安くする努力を積み重ねてきた。

一方で、インターネットが発展して、情報が瞬時に世界中を回るようになってきた。
それと同時に、モノに関わるあらゆる情報も、瞬時にネット上に乗り、瞬く間に伝わるようになった。
すると、人気のモノはすぐに模倣され、低価格化の動きが始まる。先行者利益がどんどん減った。
規模を追求して、コストを下げられた企業だけが利益を得る。そんなことまで起こるようになった。

要は、単純な製造業が成立し難くなってきたのだ。さらに大量生産・大量廃棄にも疑問符が付いた。
ESG投資、GXといったキーワードが生まれ、地球に優しい企業活動が求められるようになった。
製造業はまさに岐路にあると言っていいだろう。単純なモノづくりでは済まない世界が迫ってきた。
地球の有限性の範囲内で、豊かさ・幸福、経済、企業競争力を高次元でバランスさせる必要がある。

これまでとの大きな違いは、視野の広さだ。自社やユーザーにとどまらず、地球をみる。
突然の広がりだ。地球をみると言うことは、全ての取引先、競合も含めてということになる。
今まで取引先とは考えていなかったモノの廃棄後のリサイクル業者なども対象になる。自然もだ。
ライフサイクル産業。この視野の広さをそのまま表した言葉だ。どうやって視野を広げるべきか。

やはりデジタルの力は必要だろう。人がすべてを追い続けることなど到底できるわけがない。
では超大企業が全ての仕組みを持ち、全ライフサイクルを掌握していくことがよいのだろうか。
でもそれでは、豊かさや幸福に大きな偏りが生じるように思う。別の方法も必要なのは間違いない。
一人一人が地球のことを考える。考えたことを周りに伝える。こんな方法を広げてはどうだろうか。