エントロピー。

理系はもちろんだが、文系も一度は聞いた言葉ではないだろうか。
エントロピーはとても有名な言葉だと思う。そして意味が不明な言葉でもある。
よく一緒に出てくる言葉は、カオスとか無秩序だ。とにかく無茶苦茶に感じる。
エントロピーは増大するという言葉も聞く。世の中はカオスに向かっているのだろうか。

秩序があって整然としている。こんな状態はエントロピーが低い。
でも物事はこのままでいることはないと、エントロピーは教えてくれる。
良いか悪いかは別にして、それが自然に起こることなのだと言っている。
新築のビルはひび割れを起こし、いずれ瓦礫になる。こんなイメージだ。

秩序と無秩序の間には、細かく見ると、様々な現象が段々増えていくのが分かる。
ビルであれば傷やヒビや傾きがそれに当たるだろう。決して直ることはない。
現象の種類が増え、大きくなり、いずれはビルの崩壊に繋がっていくのだ。
この間、エントロピーはずっと増大している。こんな概念をよく考えたものだ。

もう一つ忘れてはいけない性質として、エネルギーの質というものがある。
要は取り出して利用しやすいか、しにくいかが質の良し悪しとなる。
もちろん、エントロピーが高くなるとエネルギーは利用しにくくなる。
コップの熱湯が熱いうちはエントロピーが低く、大気に熱を奪われ冷めると高くなる。

熱い時、エネルギーは簡単に大気を温めるのに利用されているが、冷えると何も起こらない。
エネルギーは利用しにくくなる。つまりエントロピーは高くなったのだ。
ビルが崩れるときは莫大なエネルギーを放出するが、瓦礫になるとエネルギーは放出できない。
エントロピーはなんとも難しい。でも、イノベーションにはエントロピーの高さが必要だ。