いま、おおよそ半分のチケットが売れ残っている伝統芸能があるとしよう。
もちろん、興行の収支は赤字だ。コストを切り詰めて伝統を守りながら凌いでいる。
色々やりたいことはあれど、それを実現するお金も、能力もほとんどない。
守ってばかりでは、縮むだけで、最終的には守ることすらできなくなると感じている。
もし満員御礼にできたら、もし興行のない日にも劇場でお金が稼げたら。ふと思う。
未来への投資を始めるきっかけになると思う。いや間違いなくなるはずだ。
ではなぜ、満員御礼にならないのだろうか。半分はとりあえず売れ続けている。
それらは、長年のファンのリピートと、学生の課外授業に支えられているようだ。
おそらく、興行があることを知らせるルートはいつも同じ。愚直にやりきっている。
ファンの組織、いつもの場所のポスター、協賛企業などなど。演目と出演者以外はほぼ同じ。
そうなると、情報を受け取る人も同じになる。新たなファンが生まれる可能性は低い。
一般の人が「おっ」と思う話題性を足して、いつもとは異なるルートでの発信が必要だ。
アニメとコラボ。これは分かりやすい。アニメのファン層を掴める。今までに接点はないだろう。
しっかりとグッズ販売やコラボ飲食にも挑戦して、一人当たり消費をあげられないだろうか。
でも、これらは新たな演目を作り、グッズや飲食も企画する必要がある。かなりの工数がかかる。
そして、一過性の取り組みになりがちだ。もっと継続的にファンを生み出す仕組みがいる。
そうだ、劇場を日常的に「ひらく」のが良い気がする。毎日、何気なく伝統芸能触れる仕組みを作る。
気軽に入れるカフェがあり、伝統芸能の魅力を映像や展示でカジュアルに刷り込んでいく。
伝統芸能をモチーフにした限定カフェメニューで話題性も作る。若手技芸員と触れ合う機会もある。
若者に人気のカフェとのコラボがいい。新業態を一緒に作り出す感じだ。仲間を作って胸を借りたい。