職人の姿が目の前に。

昨日は珍しい博物館に伺った。文化財修復の匠が何人も常駐している博物館だ。
ジャンルは仏像、書物、建物などかなり広範囲なものを対象にそれぞれの匠がいる。
実際に工房があり、限られた時間であれば、その匠の技を間近でみることもできる。
修復の前後を解説する動画も整備されていて、匠の仕事の凄さに感動した。

それだけではなかった。修復後の文化財を展示スペースで実際にみることもできる。
直近でみる修復後の仏像は、どこに手を入れたのかが全く分からなかった。
それだけ、それ以外の部分との調和が図られているということだと思う。
手仕事の素晴らしさを目の当たりにして、様々な匠の仕事の結晶という事実を改めて感じた。

匠を育成しつつ、文化財の修復クオリティを担保するために、資格制度もあるという。
文化財のランクに応じて資格のレベルもあり、上を目指すモチベーションになっているのだ。
歴史に手を掛けるという緊張感と高揚感、そして責任感。とても大変な仕事だと感じた。
文化財を保護するという活動の中から、何を感じ、何を新たな文化として紡いでいるのだろうか。

この博物館には、和紙などの材料に触れ、創意工夫を爆発させる体験館という建物もあった。
子供たち向けには、数多くのワークショップも開催され、アナログの素晴らしさを伝えている。
和紙の強さを、ちぎって、丸めて、投げて、作品を作って、実感している。コピー用紙とは全く違う。
作り方にも興味を持ち、和紙という存在の奥行きの深さを実感するのだと思う。貴重な体験だ。

施設内にはさらに道の駅もあった。その土地で採れた野菜・果物、土地に由来のある工芸品が買える。
一通り見て回ったら、とてもセンスの良いものがあり、お値段もリーズナブルなものもある。
今回は急ぎの道中で買い物は楽しめなかったが、次回はゆっくりと見てみたいと思う。
道の駅を目当てに来た人が、いつのまにか文化財に引き込まれる。なかなか巧みな仕掛けだと思った。