満足感の高い買い物

コロナ禍で通販が増えた。実店舗が感染拡大防止のために休んでいたのも原因だ。
型番があり、機能やスペックのはっきりしている家電製品などは、通販でも比較的買いやすい。
また、数が少なく、在庫のありかが分からないものについては、通販の方がいいかもしれない。
逆に、どこにでもあり少しでも安く買いたいものも、通販なら底値で買うことができる。

とはいえ、やはり自分の目で見て、手で触ってから購入したいというニーズはまだまだある。
そんな中、実店舗はこれまでも少しずつショールーム化してきた。最後に買うのはネットだ。
ただ、実店舗とネットで店の運営会社が異なる場合には大きな問題が生じる。
実店舗の会社はコストだけ掛かり、価格の極限まで下げられるネットの会社だけが売上があがる。

ニューヨークでは売らない百貨店という店ができている。衣料品や化粧品を試せる店舗だ。
顧客は多数のネット専用品を一度に試せ、百貨店に出店していることで信頼もできる。
一方、百貨店側はこれもテナントビジネスなので、単に新たなジャンルの店が加わった感じだ。
日々の商品物流はなくなるが、来店客の分析と情報提供が百貨店が新たなサービスに加わる。

今年の夏には日本にもこうした業態が上陸するらしい。店舗はデジタル技術の塊だ。
来店客の一挙手一投足をカメラやセンサーが捉えて、手に取った様子や悩み時間を把握する。
そうした情報を出店企業にフィードバックすることで、商品開発に活かしてもらう。
来店客がスマホを片手にウィンドショッピングをして、決済を済ませる姿が当たり前になるのだろう。

ふと思う。ネットの強みはなんだったんだろうか。深い情報を必要に応じて調べられる。
実店舗も分散在庫も持たないから品揃えを増やしても低いコストで運営でき、価格を下げられる。
でも、いまやネットがリアルの良さをどんどん取り込み始めた。境界はどんどん曖昧になっていく。
試したくなる技はまだまだあると思う。でもなんか複雑だ。原点に回帰するやり方も考えてみたい。