人とくるまの関係性

はるか昔、道は人の歩く場所だった。いつからかそこに荷車や馬車が登場した。
最初は台数が少なかった。だんだん増えてきて、道幅が広くなり、歩行者は脇に寄ることになった。
荷車や馬車は歩行者よりスピードが速く、大きさが大きいので、自然と中央を走ることになった。
急ぎの運搬や移動だと、道を開けた。轢かれてはいけないと、素早く道を開けた。

車が開発された。乗っている人の移動はとても快適になった。いまでは冷暖房が完備されている。
荷物を運ぶための専用車もできた。乗用車よりも巨大で、コンテナを運ぶトレーラーまである。
そうした車と人の大きさやスピードは段違いになった。歩車分離や高速道路という概念が生まれた。
要は、歩行者と車の導線を分離する取り組みだ。どうしても交わるところは信号機を使う。

交通ルールが整備され、免許制度が整えられた。止まれや一方通行などは上手い工夫だと思う。
ガードレールや歩道橋も良い工夫だ。最近では道路の立体アートで速度を落とさせる仕掛けもある。
何か問題を見つけたり、事故があったりすると、しっかりと対策を練って、積み重ねてきた。
車は大きく硬く速く動き、人は生身でゆっくりと歩く。これらをなんとか同居させるべく努力した。

実際は、これに自転車やバイクが混ざってくる。最近では電動キックボードなる新種もでてきた。
ヘルメットをかぶるかどうか、人や車の導線とどう交わらせるべきか。色々な議論があると思う。
こうした改善を続けるのが良いのだろうか。それとも、人と車の新たな関係性を持つべきだろうか。
自動運転や遠隔運転、IoTの活用による接近検知。新たな技術もたくさん使えるようになってきた。

人の「速く目的地に着きたい、運転を楽しみたい」といった欲求は無くならないと思う。
故に、歩行者で賑わう場所へと向かうモビリティのスピードは必要だ。その間の快適性も必要だ。
こうした移動においては、歩行者との交わりは確実に無くしたい。もしくはスピードを大きく落とす。
歩行者で賑わっている場所では、全てが時速10km未満がいい。新たな交通インフラを考えてみたい。