Z世代、それを超えて30歳過ぎまでの人が、「デフレの中だけで生きてきた」と話すのを聞いた。
そんな話を聞くと悲しくなる。最近では世帯年収がここ数十年変わらないとのニュースもある。
客観的に見ると、やはり改善やそれを梃子にした低価格化に多くの時間を費やしてきたように思う。
顧客第一と謳い、消費者のために安くて質の良いものを提供してきた。誰でも買えるようにと。
ここだけを見ると、確かに正しいと思える。ただ、収入格差を見ると、単純には喜べない。
平均の世帯収入は確かに変わっていないが、その分布はこの数十年で大きく変わっている。
アメリカほどではないが、高額所得者数はかなり増えた。それ以外の人の平均収入は下がったのだ。
安くて良いものですら買うことが難しくなった方も増えている。さらに安くするのが正解だろうか。
正解は、もっと色々な人が供給側に回ることではないだろうか。創意工夫をして顧客の笑顔を作る。
マニュアルに沿って作業をこなして給料をもらう。なんとかこの状況から抜け出せると良いと思う。
そうした仕事で稼いだお金を、単に消費を楽しむことに使っていても、状況は改善されない。
新たな付加価値を足して、モノの価格を上げる。それに貢献した人に報いるというサイクルが必要だ。
個人商店でも良い。創意工夫した商品やサービスを生み出していく。ならではの特徴を考える。
フランチャイズや大企業の直営店でも良い。マニュアルを超えて価格を高く取れるサービスを加える。
低価格化でシェアを向上させれば全体の利益が上がるという経営者のマインドを変える必要がある。
より大きな付加価値を生み出し、それを生み出すのに関わった人たちにしっかり報いるのが良い。
これから重要なのは、大企業が率先して、一人勝ち文化ではなく、買い合う文化を作り出すことだ。
色々な人が、自らの構想を実際の商品やサービスに素早く仕立て、買い合えるようにする。
商品やサービスの体験が素晴らしい時は、より大きな対価を払う文化もつくっていきたい。
価値を重ね、それに対してしっかりと対価を払う。価格をあげるための創意工夫をみんなで進めよう。