車という題材

車に乗って35年くらいになるが、これまで所有した車はそのほとんどがマニュアル車だった。
何台かオートマ車も乗ったが、どうしても物足りなくなってマニュアル車に戻った。
渋滞が辛くないか。よく聞かれてきたが、クラッチを踏むのを辛いと感じたことはない。
むしろ、アクセルも踏まないのに勝手に前に進んでいくことの方が違和感だった。

これからのEV時代、マニュアル車は無くなるだろう。1−2段の変速はあってもそれ以上必要ない。
EVなら走り始めから十分な力、トルクがあり、そのままぐんぐん回転が上がりスピードが出せる。
百数十キロという速度で走るなら、ギヤチェンジなど不要だ。継ぎ目のない加速を実現できる。
乗り心地は良いし、至れり尽くせりだろう。EVは自動運転にもなる。それが寂しい人もいると思う。

ふと、ピアノを思い出した。以前、自動演奏のピアノをみた時は驚いた。とてつもなく上手だった。
勿論、プロのピアノ奏者の演奏を聞けばもっと心に響く。でも自動演奏に驚いたのは間違いない。
シンセサイザーという楽器もある。音色や抑揚などを自在に操れる代物だ。1台でオーケストラだ。
鍵盤のタッチにどのくらい意味があるかは分からないが、色々なものが自動化されている。

エレクトーンという難しそうな鍵盤楽器もある。上と下と足の合計3段の鍵盤を操る楽器だ。
手足2本ずつの4本をどう使うのか全く分からないが、とてもマニアックでマニュアルな感じがする。
最近はシンセサイザーがPCの中に入って⁈、データの打ち込みだけで鍵盤のないピアノ⁈まである。
もう鍵盤の楽器は、使い手の思うがままにどんどん広がりを見せている。多様に存在している。

さて、車はどうなるか。移動という機能だけを切り取って個室電車にもなるだろう。
運転を楽しむための車、操作を楽しむための車として、路面とのやりとりを極める車もありだ。
新しい両手足の使い方が生まれ、ボイスコマンドも加わって操る。マニア度が上がるのもありだ。
車の多様な楽しみが広がっている世界を描いてみたい。車は創意工夫を発揮できる丁度いい題材だ。