ディスプレイか、紙か

デジタル化、ペーパーレスが進んでいる。統計は見てないが、コピー紙の消費はかなり減ったと思う。
京都のオフィスでは一応、複合機なるものを設置はしたものの、稼働はあまりない状況だ。
東京の「とらのあな」では印刷したことがない。以前の状況からすると様変わりだ。
積まれた書類への対応に追われていた日々が懐かしい。溜まってしまうと申し訳ない気持ちだった。

紙ならではの効果もあった。リアルに積まれた書類は「なんとかしなきゃ」という思いになる。
でも、一瞬しか目を通さず、シュレッダー行きになる資料を見ていると、とても無駄だと感じていた。
メールにフラグをつけて、次第に印刷を頼まなくなった。デスク周りの状況がすっきりしていった。
隙間時間に、スマホでどんどん書類を見て、その場で瞬時に判断していくというスタイルになった。

でも、幾つか紙でやりたくなる作業も残っている。すぐに思いつくのは文章の校正だ。
変更履歴をオンにして作業をすれば、便利だし、みんなが嬉しいはずなのはもちろん分かっている。
全体を見渡しながら直したいのか、何故か赤ペンと紙での作業の方が捗る気がしてならない。
擦ると消える赤のフリクションペンがお気に入りだ。このスタイルが気に入っているのかもしれない。

カード型でパラパラとめくりたいもの、順番や組み合わせを色々変えたいものなども紙がいい。
ワークショップのポストイットなどが典型だと思う。手で触りながら考えているのかもしれない。
全く紙から抜け出せていないこともある。構想をつくる作業だ。絵を描くことが多いのも一因だ。
絵といっても、技術的なものではない。登場人物や場面を頭の中に想起させるために使う下手な絵だ。

構想なので、色々な広がりを試す。登場人物同士のつながり、場所の変化などをどんどん書き足す。
どうすればその場にいる人が共存共栄になるか、持続的にお金がまわるか、そんなことを考えていく。
紙はすぐに10枚を超える。ある程度溜まったら、それを1枚にまとめてみる。これも紙だ。
これを10回くらい繰り返して、厚みのある構想に仕立てていく。うーむ。まだ紙は必要そうだ。