繋がって存在感を生む

マーケティングの世界にはクロスセルという言葉がある。1人あたりの売上向上を狙った取り組みだ。
組み合わせて使うと楽しい商品を色々買ってもらうことだ。思わず買い物が増えてしまう。
ひとつのライフシーンを捉えて、そのシーンを彩る商品をプロの目で選んで提案をする。
趣味や嗜好を的確に捉えていることも多くワクワクする。シーンを丸ごと体現している売り場もある。

クロスセルの買い物は単品の買い物より楽しくなる。自ずと店の滞在時間は延びていく。
店員さんの顔はもちろん記憶に残るし、そのお店でありそうな商品を買う際は同じ店に来たくなる。
いつもは作らないポイントカードも、思わず作ってしまう。また来ると感じているからだ。
こうした状況になるには、店員さんとの相性も大事だが、シーンの提案なら引き込まれ易い。

この傾向は、商品だけでなく、サービスでも同じだ。ただ、サービスの場合、1つの店舗では難しい。
サービスはその道のプロと場所が必要なので、特定のサービスだけを扱う専業の店舗が多いからだ。
身体のマッサージと精神のカウンセリングをセットにしたサービスなどもあるがまだまだ少ない。
だから、サービスのクロスセルは幾つかの店舗をはしごしてもらうのが良いと思う。

当然、それぞれの店舗のオーナーは別々だ。たまたま周辺に存在しているだけかもしれない。
でももし、それらの店舗があたかも一体となってクロスセルのような動きをしたらどうだろうか。
例えば、観光地。田舎暮らしという非日常の体験をたくさんの店で体験できるようにする。
体験の数や厚みが増すにつれて、どんどんその非日常に引き込まれる。滞在時間は伸び、記憶に残る。

仲間を集める。同じ土地に住み仕事をする人同士で仲間になる。一緒にその土地を盛り上げていく。
クロスセルをどんどん広げていく。その土地に訪れた方は、見どころが増える。非日常を実感できる。
まずは一人一人の来訪者を大事にすることから始まると思う。口コミや紹介の輪が広がると思う。
その土地、その街に性格や顔つきが出てくる。第二の故郷になるかもしれない。どんどん増やしたい。