オペレーションの余白づくり

きちんと定義を学んだわけではない。資本主義という学問を突き詰めたいという願望もない。
ただ、今の社会、資本主義には色々な歪みがあるように思える。競争はもちろんすべきだ。
価値を生み出し、顧客へ届けたら、その対価をしっかりと獲得すべきなのは間違いない。
もう少し、企画からオペレーションまですべてで競争力を高めるという実感を生めないだろうか。

ながらく、効率化によるシェア争い、マニュアルに準拠することで生まれる競争力が主流だった。
サプライチェーンのどこを集約化・自動化して、スケールの効果を生むか。そんな勝負をしてきた。
セントラルキッチン、住宅プレカット、部品のモジュール化など業界問わずの動きだったと思う。
結果、企画した人、資金を投入した人が、価値の大半を受け取る仕組みが出来上がっていった。

確かに競争を打ち勝つには、事業の全体を見渡せる、オペレーションを理解できる人材が不可欠だ。
全体を組み立てて、システムとして機能させることができれば、大きな事業に育っていく。
こうした人材が資金の出し手とタッグを組むことで、市場が拡大し、新たな市場も生まれた。
でも考えない人が増えた。欧米と同じように、ブルーとホワイトの境界がはっきりとしてきた。

利益の拡大に加えて、創意工夫の総量の拡大を、同じくらいの重みで大事にできないだろうか。
その際、企画だけが創意工夫をやるべき対象ではない。オペレーションも含めて全てが対象だ。
例えば、マニュアルに余白をつくる。現場の人それぞれが創意工夫で付け足せるようにしてみる。
どんな事業でも少し手の空くタイミングがある。そこで創意工夫を試せるようにしていく。

徐々にマニュアルの余白を広げていけば、現場がマストとそうでないものに実感が持てる。
考える強い現場にもなる。現場の中から、企画のアイディアを出す人材まで出てくると思う。
「言われた通り」から、「創意工夫あり」に変わると、効率は落ちる部分はあるとは思うが、質は高まる。
創意工夫を増やし、価格を上げる。そして利益と給料も増やす。そんなサイクルを回してみたい。