体験価値を突き詰める

お茶のプロでは勿論ないので、感覚的な表現しかできないが、とてもおいしいお茶を飲んだ。
香りが落ち着く、深みのある味。目をつぶって、思わず何回も「ふぅーー。」と言ってしまった。
とてもリラックスできる。何回にも分けて味わうように飲む。久しぶりにそんな飲み方をした。
ずっと目をつぶっていたら、間違いなく草原にいるかのような妄想を頭に巡らせたと思う。

このお茶はどうやらサブスクで毎月届けられるらしい。1回分ごとに個包装になっている。
もちろん、おいしいお茶の淹れ方が書かれた説明書きもある。それに忠実に淹れていく。
お湯の温度、量、待ち時間など、細かく書かれている。これなら素人でも美味しく淹れられる。
他にも美味しく淹れられる工夫がたくさん用意してあった。どれもなかなかのアイディアだ。

まずは急須。透明の専用のものが用意されていた。それを使うとお湯の量がぴったりになる。
さらにすごいのは、透明が故に、お茶の葉っぱが少しずつ開いていく様をずっと観察できる。
待ち時間が一気に豊かなものになる。実際、味への期待が膨らんでくるのを間違いなく感じた。
さらに、時間を測るための専用の砂時計もあるという。優しい感じのデザインでいい感じだ。

どうやらこの急須と砂時計を常に使えるように整えているらしい。茶葉側の工夫がある。
つまり、味を最高にするために茶葉の製法やブレンドを考えるだけでなく、量と時間も意識している。
どれも茶葉を急須に移すだけで同じ量のお湯で、同じ時間で美味しく出来上がるように仕立てている。
温度を測る仕掛けはどうやらないらしいが、適温のお湯の作り方は解説に丁寧に書かれてあった。

誰が淹れても期待通り、もしくは期待を超える体験になるように様々な工夫が施されている。
急須もデザインの美しさに留まらず、急須づくりの苦労なども詳細に伝えて、体験を盛り上げている。
ホームページの写真には常にその急須が使われ、同時に愛用者のSNS投稿にも謝意を伝えている。
体験を事業に仕立てるには色々な苦労があり、その苦労と共にファンを増やす。お手本になりそうだ。