道具とやりたいこと

世の中が少し複雑になってきた。既に色々な発想で様々なモノが作られ売られてきた。
ひとつの発想で簡単にモノが作れ、それがブームになる。そんな確率は下がってきた。
そんな中、あれより少し良いモノを作ろう。という発想が増えてきた。あれの代わりに売れる。
見本として「あれ」があるので、加える工夫だけを考えれば良い。発想は必要だが、難易度は下がる。

類似のものが増え、「あれ」と少しずつ違うものが街に溢れる。好みの差でどれを選ぶかが決まる。
ダントツに売れるものがなくなる。あれやこれの代替品になるはずが、あまり上手くいかない。
溢れた少し違うモノ達はどれもあまり儲からない。買い手には驚きや新鮮さはない。だから安くなる。
やはり、根本的に考え方を変えなければいけないと思う。新しいモノを作るという意志がいると思う。

類似でなく、新しいモノ。つまり、ベースが無い。ゼロから作りたいモノを決める必要がある。
だから、近未来の買い手を思い描く必要がある。自分が作りたいモノが活躍しているシーンに頭を巡らす。
ここで、作りたいモノ、そのモノが生み出すシーンを妄想する。大胆でいい。大きくてもいい。
すると、すぐに諦めの気持ちが湧いてくる。そんなことは自分や今の組織ではできない。だから浮かばない。

そんな時は、先に道具を用意したい。自分の組織の中に、隠れた道具・得意技を持っている人はいないか。
学生時代の友達に、社外に面白い得意技を持っている人はいないか。なるべく沢山、多様に見つけてみる。
30個みつけたら、自然とアイディアが湧いてくると思う。少しくらい突飛な得意技でもいい。
50個みつけて、それらを組み合わせてみると、たくさんのやりたいモノやシーンが現れる。

そうしたら、そのシーンの登場人物になり切る。側にそういう人物がいたら、じーっと観察する。
ぐーっと深く入り込む。その人物の気持ちの移り変わりをなぞる。すると、少しずつシーンの勘所が分かる。
何を作ればいいか具体的になる。そしたらどんな得意技が必要かが分かる。50個でも足りないモノもわかる。
不足を探しにいく。やりたいことと道具。行ったり来たりしながら事業を育む。慣れると誰にでもできる。